新株を購入してもらう資金調達の仕組みの新株予約権無償割当
新株予約権無償割当は、企業の株主割当を増やす手段の一つでライツ・イシューとも呼ばれています。既存の株主に対して時価よりも安い価格で新株を購入できる権利を無償で割り当てる、企業の資金調達の仕組みです。
具体的には増資に応じてくれる既存の株主は、新株予約権を行使して現金を企業に払い込んで新株を受け取れるのに対して、増資に応じないあるいは応じたくない既存の株主は、新株予約権市場でこの権利を売却して現金を受け取ることができるのです。
一般的に新株予約権無償割当では、他の手法と同じように一株当たり利益は減少するが、既存の株主が保有株を増やしたくない場合、あるいは新しい株を買う事が出来ない場合は、この権利を売ることによって増資によって生じる損失を補填できます。
なお、既存の株主が手放した予約権は証券会社が買い取り、他の個人投資家に販売することで、増資を予定する企業としては結果として計画通りの規模で資金調達が可能です。新株予約権無償割当は、増資に応じれば発行株式の増加に伴う希薄化の影響を軽減できます。
また、応じない場合であっても利益の目減り分を予約権の売却収入で補えます。以上のことから欧米や日本除くアジアの国々では既存の株主に配慮した資金調達の増資手法として定着しているのです。
日本では、時価を基準に市場から資金調達する公募増資が主流のため、既存の株主は新株の増加で一株あたり利益が減少するほか、出資持ち分も減少するという二つのリスクを抱えることとなるのです。
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